岩国市ミクロ生物館

岩国市ミクロ生物館 メールマガジンバックナンバー

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 このメールは、過去にミクロ生物館主催の行事に
 参加された皆様、およびミクロ生物館からの情報
 配信を希望された皆様にお送りしています。各種
 お問い合わせ、配信停止についてはこのメールの
 後方をご覧ください。
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■━━  岩国市ミクロ生物館ニュース  ━━■
      ---  第 4 1 号  ---

  * * * * ミクロの世界にようこそ! * * * *

“本誌はミクロ生物好きな方のネットワークづくりの
サポートを目的として発刊されました。ここでしか
得られない情報など特典盛りだくさんで毎月26日
(26日が火曜日の場合は27日)に配信致します。
ぜひご活用ください!”


<目次>

☆ミクロ生物スペシャルコラム
 “ミクロ生物が守る環境”
 富山大学大学院 理工学研究部(理学)
              教授  中村 省吾

1】瀬戸内海の微小生物を楽しく学習できる下敷き
  が完成! 小・中学生に好評配布中!

2】清流錦川の微小生物たちが観察できる!
  6月6日(土)“水と環境とわたしたちの暮らし”
  展が岩国市役所で開催されます

3】4月27日から5月27日までのミクロ生物館 NEWS

◎ 編集後記


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      ミクロ生物スペシャルコラム
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     *** ミクロ生物が守る環境 ***

 中村 省吾 (NAKAMURA、 Shogo)
   富山大学大学院 理工学研究部(理学) 教授

 ミクロ生物の一群である藻類は、二酸化炭素と水を
吸収し、太陽のエネルギーを捉えて炭水化物を作り
出す生産者として、また、バクテリアやカビ・キノコ
の仲間は、排泄物や死骸を分解してくれる分解者と
して、それぞれ生態系の中で重要な役割を果たして
います。最近、これらミクロ生物の機能を積極的に
利用して、われわれヒトがこれ以上環境を汚さない
ようにするための、あるいは汚してしまった環境を
きれいにするための研究が進められてきています。
それらを、大きく二つに別けて紹介します。

1)バイオレメディエーション(生物的環境修復方法)
 わが国では、1997年のナホトカ号の重油流出事故を
契機として、微生物の機能を利用して環境中の汚染物質
を分解除去する方法であるバイオレメディエーション
に注目が集まりました。その後、このバイオレメディ
エーションを用いて、石油やPCB・ダイオキシンなどの
難分解性の有機塩素化合物などによる汚染を浄化する
ための研究が進められ、実用化に向けた実証試験も
行われました。そして、石油や有機塩素化合物を分解
できるバクテリアや白色不朽菌と呼ばれるキノコの
仲間が見つけられています。

 冒頭に述べました排泄物や死骸の分解は、自然に
起こっているバイオレメディエーションと捉えられ
ます。ヒトの数が大きく増え、それだけでは追いつか
ないまでに排泄物や廃棄物の量が増え、さらには
新たに作り出された化学物質による汚染も増えてきた
ことから、この方法が必要とされています。
何故ならば、この方法は、化学物質や重機械を用いる
方法よりも、安価で、何よりも自然に優しい方法だと
考えられているからです。身近なところでは、活性汚泥
による下水処理法があります。これは、ほとんどの
下水処理場で行われている方法で、バクテリアと原生
生物からなる活性汚泥を用い、下水に溶け込んだ有機物
をバクテリアに吸収分解してもらい、それによって
増えたバクテリアや浮遊有機物を、アメーバ、ツリガネ
ムシ、ワムシなどの原生生物に食べてもらってきれいに
するというものです。最終的な処理水の窒素やリンの量
をさらに減少させるために、バクテリアや微細藻類を
用いた高度処理法も使われ始めています。

2)バイオマス(生物資源)
 近年、地球温暖化防止や化石燃料の代替燃料産生の
観点から、カーボンニュートラル(環境中の炭素循環量
に対して中立)なエネルギー資源であるバイオマスの
有効利用が提唱されています。当初は、バイオマスを
直接燃焼させてエネルギーを得ていましたが、その後、
微生物の分解能や発酵能を利用した燃料(バイオ燃料)
産生について研究が進められ、化石燃料の代替燃料
として実用化もされています。そして、セルロースや
デンプンを多く含む微細藻類や、さらには、それらを
分解して産出された糖を発酵させる酵母などの探索が
されています。一方で、脂質や炭化水素を含む藻類も
発見されており、ボツリオコッカスのような石油を産生
する単細胞性の藻類が注目を浴びています。すでに、
藻類から作られた燃料でジェット機も飛行しています。

 これら以外に、環境が汚染されないように見守るため
のバイオアッセイ(生物的評価方法)やバイオモニタ
リング(生物的監視方法)でも、ミクロ生物が活躍して
います。発光バクテリアの発光や、ミジンコの遊泳、
単細胞藻類の増殖などのミクロ生物の機能が指標
(エンドポイント)として用いられ、これら発光や遊泳、
増殖が影響(阻害)を受ければ、調べた環境中に汚染
物質があると推定するわけです。われわれの研究室では、
単細胞藻類のクラミドモナスのべん毛の再生を指標と
して、工場排水中の汚染を調べたりしております。
また、富栄養化によって起こる赤潮や青潮などは自然の
バイオモニタリングで、渦鞭毛藻やラン藻の増殖という
指標によって警鐘を鳴らしてくれているのだとも考え
られます。

 このように、多種多様なミクロ生物が、さまざまな
場所で、過去から現在まで、われわれの環境を守って
きてくれました。また、未来にかけても守ってくれよう
としています。


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1】瀬戸内海の微小生物を楽しく学習できる下敷き
  が完成! 小・中学生に好評配布中!

瀬戸内海に生息する微小生物を手軽に学習できる
下敷きが、このたび由宇町観光協会との協同企画で
誕生しました!

瀬戸内海に生息する56種の微小生物を、実際の
100倍の大きさのイラストと美しい写真で紹介した
下敷きです。とくに、有害・有毒性をわかりやすく
色分けして表示していますので、環境と微小生物に
関する学習や調査に最適!

裏面には、ミクロ生物館や、館のある“潮風公園
みなとオアシスゆう”の観光案内を掲載しています
ので、夏休みに、自由研究も海水浴も満喫したい方
にピッタリ!

社会見学に来られる小・中学生の皆様や、当館で
自由研究をされる方を対象に、無料で配布しており
ます。

由宇町観光協会より、一般販売(予価400円)も
行われる予定ですが、遠方にお住まいの方で、学習
目的での入手を希望される方は、ミクロ生物館
( micro@shiokaze-kouen.net )
まで、お気軽にお問い合わせください。

自由研究や社会見学のご予約を希望される方も、
上記のアドレスまで、お気軽にどうぞ。
皆様のご利用をお待ちしております。


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2】清流錦川の微小生物たちが観察できる!
  6月6日(土)“水と環境とわたしたちの暮らし”
  展が岩国市役所で開催されます

2009年6月6日(土)に岩国市役所1階多目的ホール
にて開催される「水と環境と私たちの暮らし2009」
(主催:岩国市水道局、岩国市ミクロ生物館、
岩国市、山口県岩国健康福祉センター、共催:山口
県地球温暖化防止活動推進センター)において、
錦川に生息するミクロ生物など、岩国市の水源と
なっている水域にすむ、さまざまな微小生物を観察
できるブースを出展します。

岩国市の飲み水の源となる錦川にはどのような
ミクロ生物がいるのでしょうか? ミクロ生物から
見えてくる錦川の環境とは? この機会に、身の回り
の環境やそこに生息する生き物たち、そして私たち
の暮らしとの関係について考えてみませんか?

開催時間は午前10時より午後3時まで。入場無料
で、ミクロ生物館の展示以外にも、水と環境に
関連したさまざまな展示や液体石けんの無料配布、
マイプランター工作ブースや抽選会など、いろいろ
開催されます(会場内ではビニール袋の配布は
されておりませんので、必ずマイバッグをご持参
ください)。

メールマガジン読者の皆様も、お時間がございまし
たら是非、新しくきれいになった市役所まで足を
お運びください(JR岩国駅より路線バスで5分)。


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3】4月27日から5月27日までのミクロ生物館 NEWS

※ 詳細は各記事下のURLをご参照ください。

<< 5月1日(金)
「放散虫〜自然が生んだ美のかたち〜」展 開催中
http://www.shiokaze-kouen.net/micro/news/page369.html

<< 5月8日(金)、13日(水)
岩国市立岩国中学校にて出張講義を実施
http://www.shiokaze-kouen.net/micro/news/page370.html

<< 5月11日(月)
岩国市立通津中学校にて出張講義を実施
http://www.shiokaze-kouen.net/micro/news/page371.html

<< 5月27日(水)
岩国市立由宇小学校3年生が当館を見学
http://www.shiokaze-kouen.net/micro/news/page372.html


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  編集後記
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 5月、6月といえば、小・中学校では微小生物を
 テーマにした学習が行われる時期です。今年も
 出張講義や体験学習など、さまざまな形で微小
 生物たちの魅力を伝える活動を行っております。
 大変好評いただいているものの、我々職員が同
 時にこなせる仕事量に限界がある故、なかなか
 手を広げられずにいるこれら学習プログラムで
 すが、今後は公民館等を利用した、より幅広い
 世代向けのプログラムも開発していきますので、
 学校関係者の方のみならず、自治会や子供会等
 の担当者の皆様も、ぜひご相談ください。地域
 にすむ微小生物の観察会や微小生物について深
 く学ぶ学習会など、目的や規模に応じて、柔軟
 なプログラムを組むことができます!(末友)
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●岩国市ミクロ生物館 お問い合わせ先
 住所:〒740-1431
 山口県岩国市由宇町有家浦
 潮風公園みなとオアシスゆう 交流館内
 Fax:0827-62-0156(24時間受付)
 E-mail:micro@shiokaze-kouen.net
 Website: http://shiokaze-kouen.net/micro

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●次号の配信日は 6月26日です。お楽しみに!

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岩国市ミクロ生物館ニュースは、これからも
内容の充実に努めてまいります。
皆様のご意見、ご感想等、お待ちしております。
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発信元: 岩国市ミクロ生物館
メールマガジン担当: 末友 靖隆

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