岩国市ミクロ生物館

岩国市ミクロ生物館 メールマガジンバックナンバー

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 このメールは、過去にミクロ生物館主催の行事に
 参加された皆様、およびミクロ生物館からの情報
 配信を希望された皆様にお送りしています。各種
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■━━  岩国市ミクロ生物館ニュース  ━━■
      ---  第 3 6 号  ---

  * * * * ミクロの世界にようこそ! * * * *

“本誌はミクロ生物好きな方のネットワークづくりの
サポートを目的として発刊されました。ここでしか
得られない情報など特典盛りだくさんで毎月26日
(26日が火曜日の場合は27日)に配信致します。
ぜひご活用ください!”


<目次>

☆ミクロ生物スペシャルコラム
 “マイクロコズムとミクロ生物館でみた進化”
  岩国市ミクロ生物館 専門職員 佐野 明子

1】学習図鑑“瀬戸内海プランクトン図鑑”注文受付
  を当館ホームページにて開始しました!

2】年末年始の開館に関するお知らせ

3】展示生物の紹介ページを設けました(当館HP内)

◎ 編集後記


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      ミクロ生物スペシャルコラム
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*** マイクロコズムとミクロ生物館でみた進化 ***

  佐野 明子 (SANO, Akiko)
         岩国市ミクロ生物館 専門職員

 ミクロ生物館の専門職員になる前、私は愛媛大学の
修士課程に在籍していました。ミクロ生物を用いて
フラスコの中で小さなモデル生態系“マイクロコズム”
をつくり、そのマイクロコズムにおける相互作用の中
で生物がどのように進化するのかを研究していました。
私が用いたミクロ生物は、生産者としてクロレラ
(緑藻)、分解者として大腸菌(細菌)、消費者と
してテトラヒメナ(原生動物)の3種です。これら3種
を通気以外は外からの物質の出入りがないフラスコの
中に一緒に閉じ込めてマイクロコズムを作成し、光を
当てて培養しました。すると、ふつうは1種だけで
培養すると数日や数週間ごとに新しい栄養を与え
なければ死に絶えてしまいますが、このマイクロ
コズムでは3種とも3年以上にわたって共存したのです。
さらに、約200日を過ぎると「細胞内に生きたクロレラ
を保持するテトラヒメナ」が高い頻度で観察される
ようになりました。そして、培養初期のテトラヒメナ
は初期のクロレラと共に培養しても大腸菌がいなけ
れば2週間ほどで死滅しましたが、長期培養したテトラ
ヒメナは長期培養したクロレラと共に培養すると大腸
菌がいなくても2カ月以上生存できたのです。
これまで、テトラヒメナは細菌をエサとする原生動物
として知られており、自然界で藻類との細胞内共生が
報告されたことはありません。マイクロコズム内の
クロレラとテトラヒメナの関係は、栄養やエサが
乏しい環境が長く続く中で、クロレラがテトラヒメナ
の生存や増殖に有利な効果を及ぼすように進化したと
考えられます。この結果は、現在クロレラと細胞内
共生関係にあるミドリゾウリムシなどが誕生する前、
つまり元々は全くの他人同士だった2種の生物が宿主
と共生者として細胞内共生関係を築く最初の過程を
示しているのではないかと考えています。

 自分の手で組み合わせた生物が小さなフラスコの中
で進化していく様子を思い描くのは、まるで自分が
そのフラスコの中の宇宙を支配しているような気分で
わくわくする日々でした。そして、こんなふうに大学
の研究室で小さなフラスコの中ばかりのぞいていた
私が、ミクロ生物館の設立を知り、専門職員となって
から4年近くが過ぎました。この間、私の観察対象は
小さなフラスコの中から海、川、池、田んぼ、土の中
などあらゆる環境に生息する全ての小さな生き物へと
大きく広がりました。また、研究者から子どもまで、
世代や分野を問わず「ミクロ生物の面白さや重要性を
知りたい、伝えたい」という共通の思いをもった方々
と出会うことができました。
対象や規模の大きさはフラスコのマイクロコズムとは
違いますが、ミクロ生物館もたくさんの要素から構成
されたひとつの生態系です。もちろんその要素の一つ
に私もこのコラムを読んで下さっているみなさんも
ふくまれています。4年近い間にミクロ生物館も私自身
も大きな進化を遂げることができました。それは、
マイクロコズムのクロレラとテトラヒメナと同じよう
に、協力し合える仲間がいたからこそだと思うのです。

 その一つの成果が昨日、クリスマスの日に実を結び
ました。この日、当館が初めて制作した書籍
「瀬戸内海プランクトン図鑑」を発刊したのです。
刷り上がったばかりの図鑑を一冊手に取った時の重み
は忘れられません。ミクロ生物館で挑戦し続けた日々、
その中で出会い、支えて下さった多くの方々と共に
目指してきた“夢”がぎっしりと詰まった重さでした。
これからも、このような経験や出会いを重ねていけ
たら幸せです。そして、ミクロ生物館と同様に私自身
もいつまでも夢を持ち、与えていく側として進化し
続けられるよう、変わらず努力していきたいと
思います。


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1】学習図鑑“瀬戸内海プランクトン図鑑”注文受付
  を当館ホームページにて開始しました!

当館オリジナル! お子様から大人の方まで楽しく
お読みいただける学習・検索図鑑
“瀬戸内海プランクトン図鑑”
が遂に完成しました!

瀬戸内海で確認されたプランクトン約130種を
フルカラーの美しい写真とわかりやすい解説で紹介
した初の学習図鑑! 持ち運びに便利なA5サイズ。
全144ページ、DVD付で税込2,100円!

当館ホームページより、通信販売の注文受付を
スタートしましたので、フィールド観察に、自由
研究に、教養に、皆様ぜひご活用ください!

注文受付・内容紹介URL

http://shiokaze-kouen.net/micro/info/page273.html

※ 発送は1月4日より順次させていただきます。


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2】年末年始の開館に関するお知らせ

先月号でもお伝えしました通り、ミクロ生物館は
12月29日(月)〜 1月3日(土)の期間、年末年始休
としてお休みさせていただきます。
ご理解、ご了承の程、よろしくお願い申し上げます。
1月4日(日)以降は、通常通り開館致します。


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3】展示生物の紹介ページを設けました(当館HP内)

当館常設展示室の顕微鏡観察コーナーでは、生きた
微小生物たちの姿をじっくり観察できます。
また、ネイチャーラボ内の培養室では、学校等での
学習活動や教材としてご活用いただける、各種微小
生物を培養しています。
これらの生物は、季節や時期、また、展示の改良
作業によって変化するため、このたび、展示、培養
している生物をホームページ上で確認できるように
致しました。
以下がそのURLです。

http://shiokaze-kouen.net/micro/info/page271.html

ぜひご活用ください。

※ 培養生物の提供等に関するご依頼、ご質問等は
micro@shiokaze-kouen.net
までご連絡ください。


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  編集後記
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 ついに学習図鑑“瀬戸内海のプランクトン”が
 完成の運びとなりました。執筆者の一人として
 これほど嬉しいことはございません。この方が
 おられなければ、図鑑の完成どころか企画その
 ものがあり得なかったと言っても過言ではない
 (独)水産総合研究センター瀬戸内海区水産
 研究所の松山幸彦博士をはじめ、第一線で活躍
 されている大勢の研究者による温かい協力の
 数々が実を結び、お子様から現場の研究者の方
 まで大いに楽しんでいただける図鑑に仕上げる
 ことができました。海の生態系を語る上で欠か
 すことのできない、海産微小生物たちのユニー
 クな生き様を、この図鑑から皆様にも感じ取っ
 ていただければ幸いです。    (末友)
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●岩国市ミクロ生物館 お問い合わせ先
 住所:〒740-1431
 山口県岩国市由宇町有家浦
 潮風公園みなとオアシスゆう 交流館内
 Fax:0827-62-0156(24時間受付)
 E-mail:micro@shiokaze-kouen.net
 Website: http://shiokaze-kouen.net/micro

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●次号の配信日は 1月26日です。お楽しみに!

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岩国市ミクロ生物館ニュースは、これからも
内容の充実に努めてまいります。
皆様のご意見、ご感想等、お待ちしております。
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メールマガジン担当: 末友 靖隆(専門職員)

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