岩国市ミクロ生物館

岩国市ミクロ生物館 メールマガジンバックナンバー

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 このメールは、過去にミクロ生物館主催の行事に
 参加された皆様、およびミクロ生物館からの情報
 配信を希望された皆様にお送りしています。各種
 お問い合わせ、配信停止についてはこのメールの
 後方をご覧ください。
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■━━  岩国市ミクロ生物館ニュース  ━━■
      ---  第 3 5 号  ---

  * * * * ミクロの世界にようこそ! * * * *

“本誌はミクロ生物好きな方のネットワークづくりの
サポートを目的として発刊されました。ここでしか
得られない情報など特典盛りだくさんで毎月26日
(26日が火曜日の場合は27日)に配信致します。
ぜひご活用ください!”


<目次>

☆ミクロ生物スペシャルコラム
 “シロアリの共生原生生物”
  茨城大学 理学部 准教授  北出 理

1】学習図鑑“瀬戸内海のプランクトン”販売開始日
  が12月末に決定しました!

2】年末年始の開館日に関するお知らせ

3】10月27日から11月26日までのミクロ生物館 NEWS

◎ 編集後記


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      ミクロ生物スペシャルコラム
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     *** シロアリの共生原生生物 ***

  北出 理 (KITADE, Osamu)
            茨城大学理学部 准教授

 ミクロの生物、原生生物はどこにいるのでしょうか?
田んぼや水たまり、海や川の水の中、土の中などなど、
様々なところに原生生物を見つけることができます。
でも種類によっては、他の生き物の体の中にすみついて
いるものもいます。このような生活をしているものを
「共生原生生物(きょうせいげんせいせいぶつ)」と
よびます。家を食べてしまう害虫として有名なシロアリ
は、共生原生生物をおそらく一番簡単に観察できる
生き物です。

 日本列島の北海道から九州までの地域でもっともよく
みられるのは、ヤマトシロアリです。このシロアリを
一番見つけやすいのが、海岸などにあるマツ林です。
マツの少し腐った枯れ木や切り株を手グワなどで
こわしていくと、たくさんのシロアリが家族ですむ木
が見つかります。これを持って帰って、いよいよ観察
です。原生生物はシロアリの腸の中にいます。シロアリ
の胸のあたりをピンセットでつまんで持って、もう一本
のよくとがったピンセットでお尻の先をつまんで引っ
張ると、腸を抜き取ることができます。
スライドガラスに濃度0.45%の食塩水を一滴垂らし、
その中でピンセットで腸を破って中味を出し、カバー
ガラスをかけ、顕微鏡でのぞいてみて下さい。腸を抜く
のが難しいときは、シロアリの腹部ごと食塩水の中で
壊しても大丈夫です。らせん状にねじれたもの、
たくさんの長い鞭毛が生えているものなど、奇妙な形
をした原生生物が、うじゃうじゃとうごめいて泳ぎ
回っているのを見ることができます。

 一匹のシロアリには、10万匹以上の原生生物がおり、
シロアリが食べた木の消化を助けています。腸の中は、
満員電車のように原生生物でぎゅうぎゅう詰めです。
ヤマトシロアリの場合、1匹のシロアリが15種の原生
生物を持っていますが、シロアリの種が違うと、
持っている原生生物の種も異なっています。

 シロアリは、時々巣仲間のお尻に口をつけ、腸の
中身をもらって食べる習性をもっており、このとき
原生生物が一緒に受け渡されます。卵から生まれた
ばかりのシロアリの幼虫は原生生物を持っておらず、
巣の中にいる親やきょうだいから受け渡しによって
もらうのです。シロアリはふつう、特定の季節に巣の
中から羽アリが飛び出し、「結婚飛行」を行って
雌雄がペアになり、王と女王として新しい巣を作り
ます。このとき羽アリは母巣の原生生物をお腹に
もっており、それが新しい巣に引き継がれます。
このように親世代から子世代へ原生生物が引き継が
れていくため、同じシロアリの種であれば、同じ
原生生物をもつことになるのです。種が異なる
シロアリでは、共通祖先から分かれて長い時間が
たっているために、それぞれで原生生物の絶滅や
新しい種の誕生がおこり、お互いの持っている種が
少しずつ変わってしまうわけです。

 北海道から沖縄まで、日本列島にはヤマトシロアリ
の仲間が7種すんでいます。これらがもつ原生生物を
調べて比較し、原生生物の種組成が似ているもの同士
でグループ分けしてやると、
(1)九州・屋久島より北の日本列島にすむヤマト
シロアリのグループ と、
(2)それより南の奄美・沖縄・宮古・八重山諸島を
含む南西諸島にすむシロアリのグループ
に大きく2分できます。その境界にあたる屋久島と
奄美大島の間は、「渡瀬線(わたせせん)」とよばれ、
およそ150万年前からずっと海峡だったために、他の
いろいろな動植物でも分布域の境界になっている
ところです。小さなシロアリの腸の中の、さらに
小さなミクロ生物にも、このように日本列島の歴史が
映し出されているのは、面白いですね。


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1】学習図鑑“瀬戸内海のプランクトン”販売開始日
  が12月末に決定しました!

先月号でもお伝えしました、当館オリジナルでお子様
から大人の方まで楽しんでお読みいただける学習・
検索図鑑“瀬戸内海のプランクトン”の発売日が
今年の12月末に決定致しました!

水に強くて丈夫なA5フルカラー約140ページの図鑑に
加え、微小生物たちの動きを撮影したDVDが付属
します。予価は2,000円(税抜き)です。

販売は当館ホームページ上での通信販売と館内の
店頭販売を予定しております。
初回予約特典として、豪華?なプレゼントも予定
しておりますので、続報にご期待ください。

フィールド観察に、自由研究に、教養に、皆様ぜひ
ご活用ください。


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2】年末年始の開館日に関するお知らせ

年末年始(12月22日〜1月11日)のミクロ生物館
休館日は以下の通りです。

12月24日(水)、29日(月)〜31日(水)
1月1日(木)〜3日(土)、6日(火)

これ以外の日は開館しております。

なお、潮風公園の物産販売コーナー(ミクロ生物館
のオリジナルグッズ販売含む)の休業日は

12月24日(水)、30日(火)
1月1日(木)、2日(金)、6日(火)となって
おります。


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3】10月27日から11月26日までのミクロ生物館 NEWS

※ 詳細は各記事下のURLをご参照ください。

<< 11月11日(火)
「錦川名水百選探訪ツアー」にてミクロ生物観察会
を実施
http://shiokaze-kouen.net/micro/news/page350.html

<< 11月12日(水)、13日(木)
岩国市立通津中学校2年生が職場体験
http://shiokaze-kouen.net/micro/news/page351.html

<< 11月20日(木)
由宇川流域環境学習会にてミクロ生物観察会を実施
http://shiokaze-kouen.net/micro/news/page352.html

<< 11月22日(土)
山口大学「サイエンスワールド2008」に出展
http://shiokaze-kouen.net/micro/news/page354.html


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  編集後記
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 当館の常設展示で一番人気は、なんといっても
 “顕微鏡観察コーナー”です。1 mlにも満たない
 液の中でも元気に生活している微小生物たちの
 健気な姿をみていると、なんだか元気を分けて
 もらったような気分になれます。皆様も、少し
 疲れたときや癒されたいときに、ぜひお立ち寄り
 になられて、微小生物たちとの優雅なひととき
 をお過ごしになられてみてはいかがでしょうか。
                  (末友)
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●岩国市ミクロ生物館 お問い合わせ先
 住所:〒740-1431
 山口県岩国市由宇町有家浦
 潮風公園みなとオアシスゆう 交流館内
 Fax:0827-62-0156(24時間受付)
 E-mail:micro@shiokaze-kouen.net
 Website: http://shiokaze-kouen.net/micro

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●次号の配信日は 12月26日です。お楽しみに!

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岩国市ミクロ生物館ニュースは、これからも
内容の充実に努めてまいります。
皆様のご意見、ご感想等、お待ちしております。
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メールマガジン担当: 末友 靖隆(専門職員)

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