岩国市ミクロ生物館

岩国市ミクロ生物館 メールマガジンバックナンバー

◇=============================================◇
 このメールは、過去にミクロ生物館主催の行事に
 参加された皆様、およびミクロ生物館からの情報
 配信を希望された皆様にお送りしています。各種
 お問い合わせ、配信停止についてはこのメールの
 後方をご覧ください。
◇=============================================◇

■━━  岩国市ミクロ生物館ニュース  ━━■
      ---  第 3 4 号  ---

  * * * * ミクロの世界にようこそ! * * * *

“本誌はミクロ生物好きな方のネットワークづくりの
サポートを目的として発刊されました。ここでしか
得られない情報など特典盛りだくさんで毎月26日
(26日が火曜日の場合は27日)に配信致します。
ぜひご活用ください!”


<目次>

☆ミクロ生物スペシャルコラム
 “私の観察ライフ”
  ミクロ生物愛好家   ゴードン 美佐子

1】“瀬戸内海の微小生物図鑑”間もなく完成です!

2】9月27日から10月26日までのミクロ生物館 NEWS

◎ 編集後記


☆---------------------------------------------☆
      ミクロ生物スペシャルコラム
☆---------------------------------------------☆

       *** 私の観察ライフ ***

 ゴードン 美佐子 (GORDON, Misako)
               ミクロ生物愛好家

 きっかけが何だったかもはや定かではないが、
ミクロの世界に興味があろうとなかろうと、彼らは
淡々と生きている。その無表情で、私達に覗き見られ
ていることに気づかず、忙しそうにしている生物達、
本当に無邪気でかわいらしい存在だ。

 社会人になると、試験勉強のためでなく本当の意味
で好きなことが見つかるものだ。私も学生時代、理科
は覚えることが多く、また、実験もグループごとで
する手前、分からないことが恥ずかしく、分かった
フリをしていたダメ人間だったが、今は自分のペース
でゆっくりじっくり観察でき、徐々にミクロの世界に
魅了されていった。
飽きやすい私は、顕微鏡を買うときもやや躊躇した。
この興味がいつまで続くのか不安だったからだ。
そして買ったのは小・中学生向けの7,980円の顕微鏡
セット。でもそんなチープな顕微鏡が理科嫌いな私に
与えてくれた感動は計り知れないものだった。

 その夏のお盆休みから私の観察ライフは始まった。
発見した生物達を写生して、なかには色を塗ったり、
どのような動きをしているかなど記したものも多い。
その頃はとりあえず見たものを描くだけだったが、
そのうち図書館で図鑑を借りてきて、分かる範囲で
種を同定するようになった。この頃は見たものすべて
がほぼ初対面というか、もちろんミジンコやゾウリ
ムシなどメジャーなものは教科書などで見知っていた
が、自らの手で採集し、自らの眼で発見したときは
感激もひとしおだ。

 例えばラッパムシ。記録によると、8月14日、近所
の田んぼでサンプル採集。すごく長い首みたいなもの
を持ち、突然引っ込む。ラッパの先に毛がいっぱい
生えていて、そのラッパが水をどんどん吸い込んで
いる様子を矢印を使って描いている。また、ワムシ類
やツリガネムシもよく見られたようだ。
ちなみにこの頃の私のお気に入りはスティロニキア
で、髪型がイケてると思っていた。見つけた瞬間、
かっこいい!と思い、スライドグラスを動かして追い
かけまわしたものだ。さらに思い出のスケッチブック
をひもとくと、イタチムシと思われるものや
スパシディウムなども見ていた。

 そのうち、海にはどんなミクロ生物がいるのかと
考え自分なりに採集に出かけたが、やはり海は広く、
効率よく採集するには経験の薄い私にとって難しく、
このときはこれといった生物にはめぐり会えずに
終わっていった。結局、近所の池、自宅のバルコニー
のたまり水などでミジンコ、ノープリウス幼生、
植物プランクトンのミクラステリアスやミカヅキモの
美しさに感動しながら海の方はほぼ諦めかけていた。

 それから少しして、東京上野の国立科学博物館に
行った。これもまた私のモチベーションをさらに
アップさせた。美しく展示されたミカヅキモと記念
写真を撮ってご満悦。ミクロ生物のみならずあらゆる
生物に関する知識の結集で、生物好きにはたまらない
ところだ。こんなところが地元山口にもあれば
どんなにいいだろう…と思っていたところ、岩国市立
ミクロ生物館が誕生したのだ。

 このミクロ生物館の建設に、惜しみなく協力された
山口大学理学部の教授、藤島先生にもお会いすること
ができた。教授は本当にゾウリムシ命な方で、お話を
聴きに研究室に招待されたときは時のたつのを忘れて
二人でミクロ生物の話で盛り上がった。どんな顕微鏡
がよいか、どんな場所で採集すればどんなものが
みつかるか、乾燥したわらを煮た水をさまして枯草菌
が増えた頃にゾウリムシを入れると培養できるとか、
いろいろ教えていただいた。

 ミクロ生物館へは早速、スケッチブックを携え
訪ねる。いつも、怪しまれはしないかと周囲を気に
しながら一人でゴム手袋をはめて田んぼの水を採集し、
一人で顕微鏡を覗き込み「うわ〜、かわいい!」
「グェ〜、なんだ、これは!気持ち悪すぎる!」などと
孤独な観察ライフだったが、ここでは専門スタッフと
一緒にその喜びを分かち合えるのだ。しかも、海の
ミクロ生物をプランクトンネットで採集するわけ
だから、私にとっては珍しいものを効率よく見ること
ができた。ラボには、なかなか個人では購入の難しい
高性能の顕微鏡もいくつかあるし、専門スタッフは
一緒にプランクトン採集に付き添ってくれたり、
分かりやすい言葉でその生物にまつわる知識や、
生物を取り巻く環境についても教えてくれる。
先日も、採集したものの中にオタマボヤという
エイリアンみたいな頭を持つ生物がいて、スタッフ
から、彼らには脊索とよばれる人間の背骨のような
ものがあり、そういう意味においてわれわれの先祖
ともいえるのだ…ということを言われた。
こ、このエイリアンが私達のご先祖様なのかぁ〜
と複雑な思いで顕微鏡下のオタマボヤを見つめた
ものだ。

 またこのとき、前年の夏が暑かったため普段
できない越冬ができた種や、黒潮が本州の方に
かなり寄ったため熱帯性の生物を多く見ることが
できたとも話された。

 自宅に帰り、淡水と海水の生物の違いをまとめ
ながら、では次は土壌の生物にトライだと思った。
そのころ「へんないきもの」という早川いくを氏の
本がベストセラーになり、もちろん私も購入した。
そしてこの本で紹介されているクマムシが俄然脚光
を浴びてくるのだが、ご多分に漏れず私も彼らを
一生懸命探した。彼らに出会う方法はツルグレン装置
が有名で、私も古い神社から取ってきた苔とペット
ボトルの上部を切り取って作った手作りのツルグレン
もどきで何とか2匹、ゲットできた。クマムシは
とてもかわいらしい動きをしているのに、乾燥すると
樽状態になって、そうなるとどんなに極寒の地でも、
放射能にさらされても生き抜くことができるという、
すごい面も持ち合わせているのだ。
この彼らの特技は、私達人間の未来にも何か希望を
与えてくれそうではないか。ミクロ生物達は小さい
ながらそんな驚くべき資質を持ち合わせているところ
も、興味深いところだ。

 個人で、好きなときに好きな場所からサンプルを
取ってきて顕微鏡を覗きながらお気に入りを
ストーカーして楽しんだり、行き詰ったときや逆に
珍しい生物を見つけたときに同定のお手伝いをして
もらったり、解説をしてもらいたいときにはミクロ
生物館でアドバイスをもらう…なんて素晴らしい
観察ライフ!この趣味は案外末永く続けられそうだ。

 観察ライフを始めて約4年…念願の新しい高品質の
顕微鏡を主人からプレゼントしてもらった。今は、
この小さくもステキな仲間達をいかに美しく撮影する
かが目下の課題である。そして、そんな私を尻目に、
今日もミクロ生物達は淡々と、ただ生きるために
生きている。


*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

1】“瀬戸内海の微小生物図鑑”間もなく完成です!

これまで山口県東部地域を中心に、赤潮原因生物
の調査活動を行ってきた、当館の“赤潮プランク
トンマップをつくる会”。中学生から現役を引退
された方まで、幅広いメンバーからなる会ですが、
このたび、これまでの活動の集大成として、瀬戸
内海で頻出するプランクトン(浮遊生物)を中心に
わかりやすく検索・学習できる図鑑を作りました!

クラブ活動や体験学習会で試用しては改良すると
いう地道な作業を繰り返すことで、“一般向け
海産プランクトン図鑑で最も実用性の高い図鑑”と
自負できるレベルに達しました。オールカラーで
約140ページからなり、しかも、各プランクトンの
動画や採集方法を収録したDVDまで付いて、一般の
学習図鑑並みのお手頃価格を実現しております。
対象は中学生以上(小学校高学年も読める内容
です)、内容の深さもお墨付きですので、大人の
方ももちろんお楽しみいただけます。

本書の構成は以下の通りです。

・瀬戸内海とプランクトンについて
・瀬戸内海のプランクトン
  渦ベン毛藻類
  ケイ藻類
  ラフィド藻類
  ユーグレナ藻類
  ケイ質ベン毛藻類
  ハプト藻類
  セン毛虫類
  放散虫類
  ミジンコ類
  カイミジンコ類
  カイアシ類
  ワムシ類
  ヒラムシ類
  ヤムシ類
  ウミタル類
  オタマボヤ類
  幼生
   ※ 単細胞生物が中心です
 (赤潮をつくる生物かどうか? 赤潮の色は?
  この生物が出るときの水質は? など、実用
  的なデータが満載!)
・プランクトンの採集と観察の方法
・プランクトンの大きさ比べ
 (倍率100倍でみた世界を再現)
・用語解説
・プランクトンの動くようすを収録したDVD
 (動きの特徴までしっかり学習できます)
・微小生物の豆知識(コラム)

                 など

発売は今年の12月を予定しております。
画像入りの紹介につきましては、近日中に
当館のホームページにてご案内差し上げます。

皆様、どうぞご期待ください!


*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

2】9月27日から10月26日までのミクロ生物館 NEWS

※ 詳細は各記事下のURLをご参照ください。

<< 9月27日(土)
周南市自然研究会の皆様がラボで研修会を実施
http://shiokaze-kouen.net/micro/news/page346.html

<< 10月19日(日)
山口大学理学部生物学科同窓会の皆様による
ミクロ生物館見学
http://shiokaze-kouen.net/micro/news/page347.html

<< 10月19日(日)
10月の体験学習会「海のミクロ生物探検」開催
http://shiokaze-kouen.net/micro/news/page347.html


*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*


★―――――――――――――――――――――
  編集後記
 ―――――――――――――――――――――
 毎日全く暇の無い充実した日が続いています!
 今現在も、メールマガジンを作りつつ、同時
 進行で図鑑製作会議が続いております。少ない
 人数で、全て手作業にて作りましたので、外見
 など、大手の図鑑には劣る部分もあるかもしれ
 ませんが、既存の図鑑を使っていて不満に感じ
 た点を可能な限り解消し、私達にとって最も使
 いやすい図鑑に仕上げました。自画自賛となっ
 てしまいますが、教養目的にも、夏休みの自由
 研究にも、漁業や水環境調査現場での調査目的
 にも、一般の方から専門家まで、大いにご活用
 いただけるものとなりました。次号では発売に
 関する詳細情報も出せるはずです。皆様どうぞ
 ご期待ください。       (末友)
 ―――――――――――――――――――――★


■■■メールの配信停止について■■■

本メールサービスの配信停止を希望される方は、
“件名” 欄に “配信停止希望”とご記入の上、
本メールをそのままご返信ください。
(本文は空のままで結構です)


●岩国市ミクロ生物館 お問い合わせ先
 住所:〒740-1431
 山口県岩国市由宇町有家浦
 潮風公園みなとオアシスゆう 交流館内
 Fax:0827-62-0156(24時間受付)
 E-mail:micro@shiokaze-kouen.net
 Website: http://shiokaze-kouen.net/micro

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
●次号の配信日は 11月26日です。お楽しみに!

---------------------------------------------
岩国市ミクロ生物館ニュースは、これからも
内容の充実に努めてまいります。
皆様のご意見、ご感想等、お待ちしております。
---------------------------------------------

発信元: 岩国市ミクロ生物館
メールマガジン担当: 末友 靖隆(専門職員)

Copyright(c)2008 Iwakuni City Microlife Museum.
All rights reserved.
*本誌の無断複製・転載を禁止します。
転載を希望される方はミクロ生物館までご連絡
ください。
岩国市ミクロ生物館 山口県岩国市由宇町潮風公園みなとオアシスゆう交流館内 TEL 0827-62-0160 [メール]