岩国市ミクロ生物館

岩国市ミクロ生物館 メールマガジンバックナンバー

◇=============================================◇
 このメールは、過去にミクロ生物館主催の行事に
 参加された皆様、およびミクロ生物館からの情報
 配信を希望された皆様にお送りしています。各種
 お問い合わせ、配信停止についてはこのメールの
 後方をご覧ください。
◇=============================================◇

■━━  岩国市ミクロ生物館ニュース  ━━■
      ---  第 2 7 号  ---

  * * * * ミクロの世界にようこそ! * * * *

“本誌はミクロ生物好きな方のネットワークづくりの
サポートを目的として発刊されました。ここでしか
得られない情報など特典盛りだくさんで毎月26日
(26日が火曜日の場合は27日)に配信致します。
ぜひご活用ください!”


<目次>

☆ミクロ生物スペシャルコラム
 “ミクロ生物と共に歩んだ四半世紀”
         岩国市ミクロ生物館 専門職員
                   末友 靖隆

1】春・夏の体験学習会“海のミクロ生物探検”参加
  ご予約受付中! 微小生物たちが待っています!

2】2月27日から3月26日までのミクロ生物館 NEWS

◎ 編集後記


☆---------------------------------------------☆
      ミクロ生物スペシャルコラム
☆---------------------------------------------☆

 ***** ミクロ生物と共に歩んだ四半世紀 *****

 末友 靖隆 (SUETOMO Yasutaka)
         岩国市ミクロ生物館 専門職員

 いつも当館のメールマガジンをご愛読いただき、
誠にありがとうございます。この度、おかげさまを
もちまして、神戸大学より博士(理学)の学位を授与
していただくことになり、当館の運営にご尽力いた
だいております山口大学の藤島先生より、メール
マガジンコラム執筆の機会を与えていただきました。
そこで今回は、私がこの世界に興味を持った経緯と、
私を虜にしたミクロの世界の生き物たちの魅力に
ついて、語らせていただきます。

 私とミクロの世界との出会いは、小学校まで遡り
ます。当時の私は、学校の筆箱の中でオカダンゴ
ムシを飼育したり、休み時間に生き物探しに校庭
じゅうを歩き回ったりと、かなり個性的な小学校生活
を送っていました。そんなある日、顕微鏡という驚く
べき文明の利器と出会い、肉眼で見える世界は全体の
ごく一部に過ぎないことに気付くのです。小学2年生
だったか3年生だったか、はっきりとは覚えており
ませんが、雑誌の懸賞か何かに当たって入手した
その顕微鏡は、顕微鏡の性能としては何とかぎりぎり
のレベルではありましたが、B5サイズに収納できる
画期的なデザインであったため、どこに行くにも肌身
離さず持ち歩き、石、葉、虫、水など、いろいろな
ものの観察を現場で楽しむことができました。特に
花瓶の中の水を見たときの驚きは、それはそれは凄い
もので、私が現在の職に就くことができているのは、
小さい頃にこのような経験をしたことが大きいと思い
ます。ですが、この経験だけであれば、単に“生物
好き”で終わっていたと思います。今の自分がある
のは、今日に至るまで、恩師、先輩、同僚、家族に
恵まれ、知識や技術だけに留まらない、多くの経験を
積ませていただけたことに他なりません。この場を
借りて、厚く御礼申し上げます。

 私が本格的に生物を好きになるきっかけとなった
ミクロの世界の生き物たち。いったい、彼ら、彼女ら
のどこに、そんな魅力があるのでしょう。ここで少し
紹介させていただくことにしましょう。
 例えば教科書でも有名なゾウリムシ。そのスリッパ
のような外見と、約1万本もの毛のような突起(繊毛
:せんもう)を動かして活発に泳ぎまわる姿は、それ
だけでも大変インパクトの強いものですが、髪の毛
よりほんの少し太い程度の大きさしかない彼らが、
ヒトでいうところの口、肛門、腕、鼻、腎臓に相当
する機能を全て備えていると聞くと驚きませんか。
ゾウリムシよりずっと大きいクラゲやイソギンチャク
には口と肛門の区別が無く、腎臓のような臓器も
持ち合わせていないことを考えると、たった1個の
細胞でこれだけの機能を持つゾウリムシが侮れない
存在であることがわかると思います。また、単細胞
ですが、きちんと性も持っています。性に関しては
ヒトよりバリエーション豊富で、16種類の性別(接合
型グループ)があり、実に複雑です。さらに、寿命も
あり、分裂を繰り返すことで老化するのです。若者の
ゾウリムシもいれば、お爺ちゃんゾウリムシもいる
のです(詳しくは、奈良女子大名誉教授の高木由臣
先生のコラムをご覧ください)。
 ミドリムシも面白さでは負けていません。この生物
は、鞭毛(べんもう)と呼ばれる毛のような突起物を
からだの外に1本伸ばしていますが、これを複雑に
動かすことで、鞭毛の生えている側に向かって泳ぐ
能力を持っています。鞭毛を使って泳ぐ生物という
ことで、まず思い浮かぶのはヒトの精子ですが、
こちらは鞭毛の“生えていない”側に向かって泳ぎ
ます。つまり、1本の鞭毛を使って泳ぐ運動でも、
ミドリムシと精子では全く逆方向なのです。この鞭毛
運動の仕組みは、いまだ完全に解明されていません。
鞭毛運動以外にも、ミドリムシはユニークな運動能力
を持っています。それが“ユーグレナ運動”です。
からだ全体をクネクネと動かす様子は、文章では表現
しにくいですが、ミクロ生物館の展示やDVDでみる
ことができますので、興味のある方は是非一度ご覧
下さい。この運動の仕組みを解明することは、私の
使命でもあります。

 地球には、目に見える大きさの動物や植物だけで
なく、ゾウリムシやミドリムシのような、小さい
ながらも複雑な生物が星の数ほど暮らしていて、
その一匹一匹が、宇宙や深海並みに、謎に満ちた構造
や機能を備えているのです。これらの謎を解き明かす
ことは、医学や農学、工学など、さまざまな分野の
発展につながり、最終的に、私達の暮らしをより豊か
にするのです。また、地球という、かなり閉鎖的な
空間の中では、ミクロの世界の生き物も、私達も、
同じ仲間です。いわゆる生態ピラミッドの底辺を
担っている、ミクロの世界の生き物たちがいなく
なってしまうと、ピラミッドの頂点にいる私達は
生きていくことができません。そのことに気付くと、
ミクロの世界の生き物たちに、より親しみを持って
接することができるのではないでしょうか。

 ここに至るまで、たくさんの壁に遭遇しましたが、
指導教官である神戸大学の洲崎先生、日本原生動物
学会会長の山口大学の藤島先生、館長の中島先生、
同僚の佐野さんをはじめとする、たくさんの方の
ご協力により、おかげさまで、この度の学位取得に
至ることができました。素晴らしい方々と巡り会う
ことができた私は、本当に幸せ者です。

オープン以来、職員とともに着実に成長を続けてきた
ミクロ生物館ですが、これからもこの流れを展示、
教育、研究の全てにおいて、より一層豊かなものに
すべく、尽力してまいります。多くの方にミクロの
世界の生き物たちの魅力、奥深さを感じていただく
ことで、近い将来、ゾウリムシやミドリムシが犬、
猫並みに身近な存在となることでしょう。ここまで
お読みいただき有難うございました。今後とも岩国
市立ミクロ生物館をよろしくお願い申し上げます。


*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

1】春・夏の体験学習会“海のミクロ生物探検”参加
  ご予約受付中! 微小生物たちが待っています!

春・夏と、水の中がおもしろくなる時期がやって
きました! 海の小さな生き物たちとふれあうことが
できる“海のミクロ生物探検”。ご家族で、グループ
で、ぜひご参加ください。

本プログラムは予約制です。

体験学習会に関する詳細・ご予約は
http://shiokaze-kouen.net/micro/info/page261.html
をご覧下さい。


*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

2】2月27日から3月26日までのミクロ生物館 NEWS

※ 詳細は各記事下のURLをご参照ください。

<< 3月1日(土)
ひらたげんきっこクラブが観察会に参加
http://shiokaze-kouen.net/micro/news/page316.html

<< 3月5日(水)
岩国市立由宇小学校4年生がミクロ生物観察体験
http://shiokaze-kouen.net/micro/news/page317.html


*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*


★―――――――――――――――――――――
  編集後記
 ―――――――――――――――――――――
 ミクロ生物館の野外サンプリング設備が充実
 してきました。今後は展示生物も一層バリエ
 ーション豊かになります! させます! 
 みなさま、どうぞご期待ください! (末友)
 ―――――――――――――――――――――★


■■■メールの配信停止について■■■

本メールサービスの配信停止を希望される方は、
“件名” 欄に “配信停止希望”とご記入の上、
本メールをそのままご返信ください。
(本文は空のままで結構です)


●岩国市ミクロ生物館 お問い合わせ先
 住所:〒740-1431
 山口県岩国市由宇町有家浦
 潮風公園みなとオアシスゆう 交流館内
 Fax:0827-62-0156(24時間受付)
 E-mail:micro@shiokaze-kouen.net
 Website: http://shiokaze-kouen.net/micro

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
●次号の配信日は 4月26日です。お楽しみに!

---------------------------------------------
岩国市ミクロ生物館ニュースは、これからも
内容の充実に努めてまいります。
皆様のご意見、ご感想等、お待ちしております。
---------------------------------------------

発信元: 岩国市ミクロ生物館
メールマガジン担当: 末友 靖隆

Copyright(c)2008 Iwakuni City Microlife Museum.
All rights reserved.
*本誌の無断複製・転載を禁止します。
転載を希望される方はミクロ生物館までご連絡
ください。
岩国市ミクロ生物館 山口県岩国市由宇町潮風公園みなとオアシスゆう交流館内 TEL 0827-62-0160 [メール]