岩国市ミクロ生物館

岩国市ミクロ生物館 メールマガジンバックナンバー

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 このメールは、過去にミクロ生物館主催のイベントに参加され
 た皆様、およびミクロ生物館からの情報配信を希望された皆様
 にお送りしています。各種お問い合わせ、配信停止については
 このメールの後方をご覧ください。
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■━━━━━  岩国市ミクロ生物館ニュース  ━━━━━■
         ---  第 2 0 号  ---

* * * * * * ミクロの世界にようこそ! * * * * * * *

“本誌はミクロ生物好きな方のネットワークづくりのサポートを
目的として発刊されました。ここでしか得られない情報など特典
盛りだくさんで毎月26日(26日が火曜日の場合は27日)に配信
致します。
ぜひご活用ください!”


<目次>

 ☆ ミクロ生物スペシャルコラム
    “ミクロ生物は細胞内共生系の宝庫”
         静岡大学 遺伝子実験施設
                    准教授  道羅 英夫

 1】原生生物の世界が映像で楽しめる! DVDの通信販売を開始
   しました

 2】ネイチャーラボであなたも研究しませんか?

 ◎ 編集後記


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       ミクロ生物スペシャルコラム
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    ***** ミクロ生物は細胞内共生系の宝庫 *****

   道羅 英夫 (DOHRA Hideo)
             静岡大学 遺伝子実験施設 准教授

 私は、現在、静岡大学の遺伝子実験施設という研究施設で
ゾウリムシを材料として細胞内共生の研究をしています。
ゾウリムシは理科の教科書などによく写真も掲載されています
し、子供の頃に購入した安物の顕微鏡で観察したりしたことも
あったので、比較的身近なミクロ生物です。ただ、正直なとこ
ろ、最初はそれほどゾウリムシに興味があったわけではなく、
むしろ昆虫や両生類・爬虫類などに対する興味の方が強かった
ように思います。しかし、大学の授業で後に私の指導教官と
なる山口大学の藤島政博先生からゾウリムシの核内に共生して
いる細菌「ホロスポラ」の話を聞いたときに、何て面白い生物
がいるのだろうと興味をかき立てられ、卒業研究では藤島先生
の研究室を選び、ゾウリムシとホロスポラの共生系に関する
研究を行うことになりました。これがゾウリムシの大核の中に
共生している「ホロスポラ・オブツサ」の写真です。 http://www.shizuoka.ac.jp/~idenshi/P.caudatum_H.obtusa.jpg
ゾウリムシの細胞中央付近にある円形の器官が大核で、その中
に棒状の細菌がびっしり共生しているのが見えると思います。
これは感染型と呼ばれる状態で、ゾウリムシが空腹になると
それまでは大腸菌などと同じような楕円形をしていて2分裂に
よって増殖していた増殖型ホロスポラが長く伸びて棒状の感染
型へと分化するという面白い生活環を持っています。また、
ホロスポラ・オブツサの感染型はゾウリムシの大核と小核の
違いを識別して大核にのみ感染するという特殊な機能を持って
おり、そのメカニズムの解明は多くのホロスポラ研究者の目標
であると言ってもいいでしょう。

 山口大学を卒業した後もゾウリムシとホロスポラの共生系に
対する興味は尽きることなく、アブラムシの細胞内共生細菌に
関する研究の第一人者である東京大学の石川統先生の研究室に
進学してその研究を続けさせていただくことができました。
最初はホロスポラという面白い性質をもつ細菌に対する興味
から選んだ実験材料でしたが、ゾウリムシとホロスポラの共生
の研究をしたり、石川先生の研究室で昆虫の細胞内共生の話を
聞いたりしているうちに細胞内共生という現象自体に対する
興味も非常に強くなってきました。細胞内共生とは、ある細胞
の中に他の細胞が侵入して安定した共生関係が保たれている
状態のことです。1970年にリン・マーグリスという研究者は、
ミトコンドリアや葉緑体のようなオルガネラは、もともとは
独立した細胞であり、それらが別の細胞に侵入して共生する
ようになり、オルガネラへ共進化したとする「細胞内共生説」
を提唱しました。若干修正された点はありますが、この考えは
現在では広く受け入れられています。細胞内共生は現在でも
なお多種多様に起こっている現象であり、それらの細胞内共生
体の中には今まさにオルガネラへの途をたどっている共生体が
いるかもしれないという興味が湧いてきます。ミクロ生物自体
が多種多様な分類群に属している生物のグループであることに
加えて、ミクロ生物は非常に貪食で自分の体よりも大きな細胞
を餌として取り込んだり、周囲にあるものを見境なく食べたり
するような性質をもつものが多数存在しています。さらに、
ミクロ生物の中では細胞内共生体をもつ細胞をさらに取り込ん
で共生している2次共生体や2次共生体をさらに取り込んだ
3次共生体なども見つかっています。このようにミクロ生物は
細胞内共生系の宝庫であり、今後もその研究から目が離せま
せん。皆さんも細胞内共生しているミクロ生物を探してみま
せんか?


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1】原生生物の世界が映像で楽しめる! DVDの通信販売を開始
  しました

 皆様大変お待たせ致しました。以前、メールマガジンにて紹介
しました“原生生物の世界を鮮明な映像でお楽しみいただける
学習DVD”ですが、このたび、ようやく通信販売をスタート致し
ました。タイトルは“〜のぞいてみよう 川 池 田んぼ@〜
藻類・アメーバのなかまたち”です。

優雅に泳ぐミドリムシや自在に変形しながらはいまわるアメーバ
など、淡水にすむ藻類・鞭毛虫・アメーバのなかまたちの姿を
目で楽しみながら学べます。

小学校高学年以上の方向けに編集しておりますが、小さなお子様
でも、好奇心旺盛な方なら映像を眺めるだけでお楽しみいただ
ける内容となっております。

一から当館のスタッフのみで製作した、手作り感あふれるDVD
となっております。個人でお楽しみいただけるのはもちろんです
が、小・中・高等学校の授業内容の補強などにも最適です。

価格は1,500円(税込み・送料別)となっております。

収録内容は以下の通りです。

 ミドリムシ(走光性、ユーグレナ運動)
 フトヒゲムシ(滑走運動、捕食のしかた)
 ボルボックスのなかま
 ツヅミモ
 クロロゴニウム
 ギムノディニウム
 アメーバ(アメーバ運動)
 ナメクジアメーバ
 ナガツボカムリ
 オオタイヨウチュウ
 採集のしかた

内容に関するご質問は、ミクロ生物館のメールアドレス
micro@shiokaze-kouen.net
までお気軽にお問い合わせください。

今回のDVDでは登場しない、ミドリゾウリムシやラッパムシ、
ツリガネムシなど、繊毛虫たちの世界をお楽しみいただける
第二弾も現在鋭意製作中です。こちらもご期待ください!


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2】ネイチャーラボであなたも研究しませんか?

 当館のネイチャーラボは、中学生の自由研究や学校の先生の
研究活動、高校のクラブ活動などで、今年の夏休みも大いに活用
されています。

中学生以上であれば、どなたでも1日350円(特殊な機器の使用を
除く)で自由自在に研究活動ができますので、小さな生き物たち
に対して沸いた、小さな疑問や大きな疑問を解決する場として、
皆様もぜひご活用ください。

ネイチャーラボに関する詳しい内容は、当館のホームページ
http://shiokaze-kouen.net/micro/info/page135.html
をご覧下さい。
内容に関して、ご不明な点がございましたら、当館のメール
micro@shiokaze-kouen.net
までお気軽にお問い合わせください。

皆様のご活用をお待ちしております。


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  編集後記
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  気がつけば夏もあと少しで終わりですね。つい先日、“赤潮
 プランクトンマップの会”があり、付近の赤潮を調査しまし
 たが、今年大発生するのではないかと危惧されていた、魚介
 類に害を及ぼし得る赤潮原因微小生物はあまりみられず、珪
 藻など、いわゆる“海の牧草”が多く見られる状態でした。
 山口県東部地域に限って言えば、今年はもう大丈夫かもしれ
 ません。しかしながら、海水浴はそろそろ出来なくなるかも
 しれません。なぜなら、電気クラゲの小さな個体が、このと
 ころ頻繁に見つかるからです。私は今年も泳がずじまいとな
 ってしまいそうですね・・          (末友)
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     ゆう 交流館内
Fax:0827-62-0156(24時間受付)
  E-mail:micro@shiokaze-kouen.net
  Website: http://shiokaze-kouen.net/micro

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●次号の配信日は9月26日です。お楽しみに!

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やサービスの充実に努めてまいります。皆様のご意見、ご感想
等、お待ちしております。
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メールマガジン担当: 末友 靖隆

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