岩国市ミクロ生物館

岩国市ミクロ生物館 メールマガジンバックナンバー

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 このメールは、過去にミクロ生物館の行事に参加された皆様、およびミクロ生物館から
 の情報配信を希望された皆様にお送りしています。
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■━━━━━━━━━━  岩国市ミクロ生物館ニュース  ━━━━━━━━━━■
              ---  第10号  ---

     * * * * * * * * * * ミクロの世界にようこそ! * * * * * * * * * *

“本メールマガジンはミクロ生物好きな方のネットワークづくりをサポートすることを
目的として発刊されました。ここでしか得られない特別な情報など、特典盛りだくさん
で毎月26日(26日が火曜日の場合は27日)に配信いたします。ぜひご活用ください!”


<目次>

 ☆ ミクロ生物スペシャルコラム
    “ゾウリムシ、そして研究との出会い”
               国立大学法人筑波大学 名誉教授   高橋 三保子

 1】 11月20日(月)開催のミクロ生物館公開講演会の詳細が確定しました!

 2】 11月のミクロ生物館体験教室開催日のお知らせ

 ◎ 編集後記



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             ミクロ生物スペシャルコラム
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        ***** ゾウリムシ、そして研究との出会い *****

    高橋 三保子(TAKAHASHI Mihoko)   国立大学法人筑波大学 名誉教授 


 私がゾウリムシと出会ったのは40年前のことである。全くゾウリムシに関心はなかった
けれど、東北大学から分離して出来たばかりの宮城教育大学の樋渡宏一教授のところ
に教務職員として就職したのがきっかけである。教務職員という職種はもう無くなった
かもしれないが、助手のもう一つ下の職種である。40年前は生物を出ても就職など
出来る時代ではなかったから、偶然目の前に出てきたこの口に、私は選択の余地も
なく、手を挙げたのである。樋渡さんは東北大学へは非常勤講師で来ていたので顔は
知っていたが、痩せぎすでいかにも神経質そう、気難しそうな印象しか無かったことを
覚えている。今、就職が難しいとはいえ、希望する職場への就職が難しいだけのこと
で、当時とは隔世の感がある。

 教務職員は研究補助者と位置づけられている。樋渡さんの頭の中にある研究上の
課題を実験してゆく仕事なので、抗体の特異性の検討だったり、遺伝学に使える株の
探索だったり、である。私はこの仕事に結構「頑張った」。しかし、2年もしていると一つ
の壁にぶつかった。もっと自分が主体性(当時はやっていた言葉)を発揮できる仕事に
関わるために、転職しようと思い始めていた。その頃である。私はゾウリムシを見ていて
奇妙な現象に突き当たった。転職ということも忘れてしまって、この現象を追いかけた
のが、40年この仕事を続けた出発点である。

 ゾウリムシはいつでも有性生殖である接合に入れる訳ではない。生活環の成熟期に
有ること、適度の飢餓状態にあること、自分と丁度合う相補的な接合型の細胞と出会う
ことである。ゾウリムシには、培養液としてレタスの滲出液にエンテロバクターという
バクテリアを接種したものを用いている。単一種のバクテリアであれば、ゾウリムシは
きれいに食べ尽くして同調して適度の飢餓状態に入ってくれる。ところが、培養を繰り
返しているうちにどうしても雑菌が混入してくる。雑菌の混入がひどくなると消化不良を
おこすのか、ゾウリムシがすっきりと適度の飢餓状態に入ってくれない。このため、接合
の前段階の相補的な接合型を混ぜても接合を誘導できない。

 そこで、どうしても高い接合活性を得たいために、雑菌を取り除いてきれいな培養に
する作業をしていた時、私は奇妙な現象に遭遇したのである。とてもきれいな培養を
得ることに成功し、ゾウリムシの形もとても良い状態なのに、全く接合活性が現れない。
しかも、培養を植え継いでいたら接合型の転換が起こった。よく見るとサルオガセ
(高木に糸状に着生する地衣)のようなバクテリアのフロック(かたまり)がぶら下がって
いる。位相差顕微鏡で見ると、エンテロバクターとは全く形状の違うバクテリアであった。
私はこのバクテリアを単離したいと夢中で追いかけてしまったのである。

 株の間違いや生活環の問題ではなかったが、科学的価値は殆どなかったかもしれ
ない。ただ、この出来事は、私に追いかける面白さを教えてくれた。この時、私は夜遅く
まで頑張っていたそうである。しかし、私自身は「頑張っていなかった」。夢中になって
いる時、本人は「頑張って」などいないのである。



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1】 11月20日(月)開催のミクロ生物館公開講演会の詳細が確定しました!


 前号のミクロ生物館ニュースでご案内しました、11月20日(月)に開催予定の“岩国
市立ミクロ生物館公開講演会”の詳細が決定しましたのでお知らせ致します。
同時に参加受付も開始しましたので、皆様奮ってご参加ください。

岩国市ミクロ生物館 第一回公開講演会   「 生物の寿命について考えてみよう 」

  人を含め、多くの生物には寿命があります。それは、単細胞生物のゾウリムシでも
  例外ではありません。しかしながら、アメーバのように寿命を持たない生物もいます。

             生物にとって“寿命”とは何なんだろう?

        “寿命”を持つ生き物と持たない生き物って何が違うの?

  本講演会に参加して、あなたも生物の寿命について考えてみませんか。中学生
  以上でしたらどなたでも無料でご参加いただけます。平日ではございますが、皆様
  のご参加を心よりお待ち申し上げます。


日時: 2006年11月20日(月)  午後5時半から7時まで (午後5時受付開始)
 
会場: 岩国市由宇文化会館1階集会室 (JR由宇駅より徒歩5分)

定員: 90名 (先着順)

参加費: 無料 (要予約)

司会: 山口大学理学部教授 藤島 政博 博士

主催: 岩国市ミクロ生物館

後援: 岩国市教育委員会・国立大学法人山口大学
     国立大学法人山口大学理学部・日本原生動物学会

講演者紹介: 奈良女子大学 名誉教授  高木 由臣 博士

 (プロフィール)
 1941年徳島市に生まれる。静岡大学卒業(1965)、京都大学大学院理学研究科
 博士課程中退(1969)。京都府立医科大学助手・講師を経て、奈良女子大学助教授
 (1975)・教授(1994)。2005年定年退職。著書に『生物の寿命と細胞の寿命』(平凡社
 1993)、『生命システム』(共著、青土社1997)、『ゾウリムシの遺伝学』(共著、東北
 大学出版会1999)、他。


講演内容:

 まずヒトの寿命について考えてみましょう。平均寿命は老化(エラー)の結果として
の寿命、最大寿命は遺伝的にプログラムされた寿命と言えます。では、平均寿命
を延ばすには、どうすればよいでしょうか? 最大寿命を延ばすことはできるで
しょうか? ヒトは将来200歳まで生きられるようになるでしょうか?

 次にミクロ生物館でおなじみのゾウリムシやアメーバの寿命について考えて
みましょう。ゾウリムシやアメーバはからだがたった一個の細胞でできています
から、からだがたくさんの細胞でできている私達と同じように寿命を考えることは
できません。ゾウリムシに寿命はあるのでしょうか? アメーバはどうでしょうか?
個体の寿命と細胞の寿命との間にどのような関係があるのかということは未解決の
大問題ですが、何が問題なのかについて話をします。

 最後に寿命の進化について考えてみましょう。生物は核を持たない原始的な生物
(原核生物)と核を持つ生物(真核生物)に大きく分けることができますが、原核生物
には寿命と呼ぶべき現象がありません。真核生物にも寿命を持つ生物と寿命を
持たない生物が含まれています。こうして見ると、生物は寿命を持たないのが本来
の姿であったということになります。

 ブレーキをもたない車がブレーキを持って坂道でも止まれるようになった、それが
生物の寿命の進化だという話をします。


◆参加申込◆
  岩国市ミクロ生物館ホームページ 公開講演会申込みフォーム
  http://www.shiokaze-kouen.net/micro/info/page137.html
  より24時間いつでもお申込みいただけます(申込み締切は11月10日)。

【お問合せ】
   岩国市ミクロ生物館
   E-mail: micro@shiokaze-kouen.net


皆様のご参加、心よりお待ち申し上げます。


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2】 11月のミクロ生物館体験学習会開催日のお知らせ

11月のミクロ生物体験学習会開催日は以下の通りです。

11日(土)、12日(日)、25日(土)、26日(日)

時間は、15時から16時30分の部の1回構成となります。

山口県遊学校事業対象イベントとなっておりますので、参加された皆様には、もれなく
特製缶バッジを贈呈いたします。

各部それぞれ先着順で4組様限定ですので、お申込みはお早めにお願い致します。

詳細情報・ご予約は電話( 0827-62-0155 )、またはホームページ
http://shiokaze-kouen.net/micro/info/page126.html
まで。

皆様のご参加、心よりお待ち申し上げます。


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  編集後記
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 このところ飛ぶように毎日が過ぎ、気が付けば10月も終わり、辺りを見渡せば、木々の
 色からも、紅葉の季節が近づいていることを実感させられます。日に日に寂しさを増して
 いく・・・秋にはそのようなイメージがありますが、ミクロ生物館の活動は、11月
 20日に開催する初の公開講演会を筆頭に、新規展示や出張講義のメニュー増加、提供
 可能な培養生物の種類増強など、さまざまな面で更なるパワーアップを計画しており、
 気分はまさに夏真っ盛り。春・夏ではないからこそできることを中心に、今後も今まで
 以上に、地域に、そして社会に根付いた運営に励んでまいります。  (末友) 
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住所:〒740-1431
      山口県岩国市由宇町有家浦 潮風公園みなとオアシスゆう交流館内
電話:0827-62-0155 (受付時間:9:30〜17:30)
FAX:0827-62-0156 (24時間受付)
  E-mail:micro@shiokaze-kouen.net
  HP: http://shiokaze-kouen.net/micro

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●次号の配信日は11月26日です。お楽しみに!

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岩国市ミクロ生物館ニュースは、これからもご提供する情報やサービスを充実
させてまいります。ご期待ください。ご意見、ご感想、どしどしお待ちしております。
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発信元: 岩国市ミクロ生物館
メールマガジン担当 (文責): 末友 靖隆

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