岩国市ミクロ生物館

岩国市ミクロ生物館 メールマガジンバックナンバー

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 このメールは、過去にミクロ生物館の行事に参加された皆様、およびミクロ生物館から
 の情報配信を希望された皆様にお送りしています。
 各種お問い合わせ、配信停止についてはこのメールの後方をご覧ください。
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■━━━━━━━━━━  岩国市ミクロ生物館ニュース  ━━━━━━━━━━■
               ---  第9号  ---

    * * * * * * * * * * ミクロの世界にようこそ! * * * * * * * * * *

“本メールマガジンはミクロ生物好きな方のネットワークづくりをサポートすることを
目的として発刊されました。ここでしか得られない特別な情報など、特典盛りだくさん
で毎月26日(26日が火曜日の場合は27日)に配信いたします。ぜひご活用ください!”


<目次>

 ☆ ミクロ生物スペシャルコラム
    「ゾウリムシ」は誤訳?      神戸大学理学部助教授  洲崎 敏伸

 1】 11月20日(月)に岩国市立由宇文化会館にて特別講演会を開催します

 2】 ミドリムシやゾウリムシがカードゲームになって皆さんのお手元にやってきます!

 3】 10月のミクロ生物館体験教室開催日のお知らせ

 ◎ 編集後記



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            ミクロ生物スペシャルコラム
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          ***** 「ゾウリムシ」は誤訳? *****

      洲崎 敏伸(SUZAKI Toshinobu)        神戸大学理学部助教授


 ちょうど一年ほど前のことですが、「トリビアの泉」にゾウリムシについてのネタが登場
したことがありました。『ゾウリムシの英語名はスリッパ小動物だが、「スリッパ」を知ら
ない京都大学の教授により「ゾウリ」に訳された』というものです。

 ゾウリムシは、学名をParamecium(パラメシウム=ラテン語で楕円形で長い虫という
意味)という繊毛虫の一種です。ゾウリムシは17世紀にオランダで発見され、形が
スリッパに似ていることからslipper animalculeつまりスリッパ小動物と名づけられ、
世界中でも古くからこう呼ばれていました。しかし、明治時代以降に、外来語に日本名
をつける運動が盛んになって、スリッパ小動物にも日本名をつけることになりました。
そこで命名を任されたのが、動物分類学の権威であった京都大学の川村多実二先生
だったといわれています。川村先生は、まさかスリッパがどのようなものであったかを
ご存じなかったということはないと思いますが、スリッパがゾウリに似ていることから
「ゾウリでいいか」ということになったようです。ちなみにゾウリムシは、中国でも
「草履虫」と呼ばれています。

 スリッパというのはもともと「簡単に履くことができる平底の靴」という意味で、西洋
では旧来からさまざまな種類のスリッパが用いられてきました。しかし、私たちが
知っている平らな室内履きとしてのスリッパは、どうやら日本で発明されたもののよう
です。明治初頭に日本にやってきた外国人が、履物を脱ぐ習慣のある日本家屋の中
に自由に入るために作られた、靴の上に履くための室内履きが日本タイプのスリッパ
の原点であったようです。しかし、近年ではこのタイプのスリッパは世界中に広がり、
現在ではスリッパと言うと平らな日本タイプのものを一般的に指すようになっています。

 と、いうわけで、「京大の偉い先生がスリッパを知らずに誤訳した」という
スキャンダラスな解釈自体はどうも疑わしのですが、パラメシウムが「スリッパ虫」、
そして「ゾウリ虫」と呼ばれるようになったために、面倒な誤解を招く結果となりました。
ゾウリムシは、薄くて平らな形をしているのだと思っている人がたくさんいるのです。
さらにこれに拍車をかけているのが、教科書などに登場するゾウリムシのスケッチ
です。楕円形の平たい細胞の辺縁部にのみ繊毛が生えているようなイメージを多くの
人々が持っています。生物学を学ぶ大学生の中にも、このような印象を抱いている
学生が多くいます。ミクロ生物館で実際に生きたゾウリムシを観察することで、きっと
皆さんは、ゾウリムシの細胞が決して平らな「ゾウリ型」ではないのだということを
正しく理解していただけることでしょう。

 ゾウリムシの形は、走査型電子顕微鏡で観察すると、さらによくわかります。
普通のゾウリムシは、ずんぐりとしたサツマイモのような外形で、たくさんの繊毛が
いたるところに生えています。下の写真を見てください。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsproto/journal/images/test4.JPG
この写真からは、「スリッパ」とか「ゾウリ」というイメージは浮かんできません。しかし、
ゾウリムシには実はいろんな種類があります。次の写真はミドリゾウリムシという
種類のゾウリムシですが、ふかふかのスリッパにそっくりです。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsproto/journal/images/test3.JPG
冬の寒い日には、思わず足を突っ込みたくなりませんか? 17世紀のオランダ人は、
もしかしたらこのようなゾウリムシを観察して「スリッパ虫」と名前を付けたのかも
知れませんね。



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1】 11月20日(月)に岩国市立由宇文化会館にて特別講演会を開催します

来たる11月20日の午後5時半より、奈良女子大学名誉教授の高木由臣先生をお招き
して、ミクロの生き物に関連した特別講演を行います。

高木先生は、本メールマガジンの第4号(2006年4月26日発刊)スペシャルコラムに
おいて“細胞たちの分裂能力”という演題でお話しされておりますので、既にご存知の
方もおられるかと思いますが、ヒトはもちろんのこと、地球上の多くの生物が持っている
“寿命”の仕組みとその生物学的意味を、原生生物のゾウリムシを用いて研究されて
きた、日本を代表する原生生物研究者の一人です。

お人柄も素晴らしく、また、どんなに難しい内容でも理解しやすく楽しくお話しされます
ので、大人の方はもちろんのこと、寿命に、そして科学に関心のある中・高校生も安心
してご参加いただけます。


概要は以下の通りです。


 演題: 「寿命」(仮題)
      奈良女子大学名誉教授 高木 由臣(たかぎ よしおみ)博士

 司会: 山口大学理学部教授 藤島 政博 博士

 会場: 岩国市立由宇文化会館 1階集会室

 定員: 90名(先着順)

 参加費: 無料


 ◆参加申込:
    ※ ミクロ生物館ホームページから近日中に申込可能にする予定です。

  
【お問合せ】
   岩国市ミクロ生物館
   E-mail: micro@shiokaze-kouen.net


詳細は、近日中にミクロ生物館ニュース号外ならびにミクロ生物館ホームページにて
お知らせ致します。

皆様ぜひご参加ください。お待ちしております。


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2】 ミドリムシやゾウリムシがカードゲームになって皆さんのお手元にやってきます!


 ミクロ生物館では、ミドリムシやゾウリムシがそれぞれの特徴を活かし、戦いを繰り
広げるカードゲーム、その名も“単細胞遊戯 マイクロ王”を近日中に発売する予定です。

前号でご紹介させていただいた、“ミクロ生物ぬいぐるみストラップ”と同じく、ミクロ
生物の現役研究者が、実際のミクロ生物の持つ特徴や性質を、忠実に体力値や特殊能力
として再現、開発した、“遊びながら、知らず知らずのうちにミクロ生物博士になって
しまう”カードゲームです。

生き物の種類はまだ多くありませんが、今後も続々追加される予定ですのでご期待
ください。

近日中に下記のホームページに商品の画像を載せますので、興味を持たれた方は
ぜひご覧ください。
http://shiokaze-kouen.net/micro/content/omiyage.html

近日発売予定 (発売日に関するお問い合わせはミクロ生物館まで)

(C) 2006 PROTO-UNICELL PRODUCTION
価格:315円(税込み)

また、地元由宇町の有志の方が作られた、“ミクロ生物ストラップ”シリーズにつき
ましても、好評発売中です。以前品切れでご注文いただけなかった方はもちろん、
皆様是非この機会にお買い求めください。


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3】 10月のミクロ生物館体験学習会開催日のお知らせ

10月のミクロ生物体験学習会開催日は以下の通りです。

14日(土)、15日(日)

時間は、15時から16時30分の部の1回構成となります。

今月も山口県の遊学校事業の対象となっておりますので、参加された方全員に、
もれなく缶バッジをプレゼント致します(無くなり次第終了とさせていただきます)。

各部それぞれ先着順で4組様限定ですので、お申込みはお早めにお願い致します。

詳細情報・ご予約は電話( 0827-62-0155 )、またはホームページ
http://shiokaze-kouen.net/micro/info/page126.html
まで。

皆様のご参加、心よりお待ち申し上げます。


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  編集後記
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  皆さんはドウモイ酸(domoic acid)をご存知でしょうか。ドウモイ酸は、新しく
 物事を記憶するのに重要な役割を果たしていると考えられている、脳の海馬という
 領域の神経細胞を死滅させてしまい、致死量に至らなくても記憶障害などの後遺症
 を引き起こしてしまう、恐ろしいアミノ酸です。
  この恐ろしいドウモイ酸を作り出す生き物、きっと恐ろしい姿をしているのだろうと
 思われる方が多いと思いますが、その正体は、何と“海の牧草”として有名な、
 “善玉プランクトン”の代表格、珪藻類の一部の種だったのです。
  日本では被害報告がいまのところありませんが、一見無害に思える珪藻赤潮も、
 その種類によっては要注意であるというお話しでした。        (末友) 
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住所:〒740-1431
      山口県岩国市由宇町有家浦 潮風公園みなとオアシスゆう交流館内
電話:0827-62-0155 (受付時間:9:30〜17:30)
FAX:0827-62-0156 (24時間受付)
  E-mail:micro@shiokaze-kouen.net
  HP: http://shiokaze-kouen.net/micro

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●次号の配信日は10月26日です。お楽しみに!

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岩国市ミクロ生物館ニュースは、これからもご提供する情報やサービスを充実
させてまいります。ご期待ください。ご意見、ご感想、どしどしお待ちしております。
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発信元: 岩国市ミクロ生物館
メールマガジン担当 (文責): 末友 靖隆

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